期待を上回るスクール運営とは

期待を上回るスクール運営とは

ゴルフに限らず、世の中のスクールが全て「オンライン化」していることは、スクールを運営しているみなさんは十分なほどに理解していることと思います。

コロナの影響もあり、オンラインレッスンやレッスン動画の配信を始めたスクールも多いことでしょう。

一方で、何事もオンライン化が進んでいる中、実際に店舗に通うことを求めている層がいることも事実。

特にゴルフを含む球技に関するスポーツジムでは「自宅では思い切り練習ができない」という理由から、自宅での練習で満足できないプレーヤーが多く存在し、本来であれば会員獲得や継続率には困らないはずのサービスなのです。

しかし、現実は「会員数が足りていない」「継続率が低い」といった悩みをよく聞きます。

なぜでしょうか?

なかなか会員が増えず、せっかく入会してくださった会員が早々に辞めてしまう理由の1位は「このスクールが必要無くなったから」

「もう必要ない」と思われないために必要なのは、「常に会員さんの期待値を超えていくこと」

同じサービスを提供し続けているだけでは、今までと変わらず、ある程度上達したら(満足したら)退会されてしまいます。

それでは、具体的に何をしたら良いのでしょうか?

それは「対人サービスである最大の強みを生かし続けること」です。

どんなサービスも無人化が進んでいる中で、やはりゴルフの上達には「対、人」がマスト条件となっており「この人に直接教わりたい」という要望はなくなることはないと言えます。

「この人に教わったから上手になった」「この人の教え方はわかりやすい」など、ゴルフが上手になるためには必ずそこに「人」が必要なのです。

満足度を高めようと考えた時に「最新の機材を入れよう」「店内をおしゃれにしよう」と、ついお金で解決することに目を向けがちですが、お金も時間もかけずに「サービスを提供する人の対応を変化させること」が一番効果的であるため、一度「自社スタッフで何ができるか?」を考えてほしいのです。

対人サービスの強み

あなたに合った教え方

どのようなスクールでもHPやSNSで謳っている言葉なのですが、実は実現することが一番難しいと言われている要素のひとつです。

多くのスクールでは「あなたのに合った教え方=あなたのゴルフレベルに合った教え方」と解釈しており、その人に合ったレッスンプログラムを構築することで満足していることが多いのですが、顧客のイメージは異なります。

一番多いミスが「初心者に向けて専門用語を駆使したプログラムを組んでしまうこと」です。

確かにプログラム自体は「グリップの握り方」「アドレスの取り方」「スイング分析」など、一見問題がなさそうな内容に見えますが、果たして初心者が「アドレス」というキーワードを理解できるでしょうか?

スイング分析なんて「クラブの持ち方すら知らないのに、分析されても仕方ないよ…」と思われてしまいます。

それくらい勉強してきてよ…と思う気持ちも理解できますが、そうなると「あなたに合ったレッスン」ではなくなってしまうのです。

もちろん、初心者と一括りにしてもゴルフ用語を一切知らない人から、ゴルフ中継は見ていて知識はあるけど自分でゴルフをやったことがないという人まで、さまざまな「初心者」が存在します。

後者の初心者であれば、アドレスやグリップなどのキーワードを使っても特段問題はないでしょうが、その人がどのレベルの初心者なのか?は実際にその人に確認してみないとわかりません。

また、中上級者向けに「トラックマン導入」というキーワードは魅力の一つになりますが、トラックマンの機能は膨大すぎて読み解くのがとても困難です。

しかしトラックマンを導入しているゴルフスクールは今やとても多く、個人利用OKでレンタルをしている練習場も増えてきているため、トラックマンを最低限読み解く知識では「その程度なら自分でもわかるよ」「その話なら前のスクールでも聞いたよ」といった、経験値が高いゴルファーには満足していただけない可能性も高まっています。

さらに、他の計測器との違いを知りたい方も多いため、それぞれの機材の知識と「その数値をどのように改善してくか?」のアドバイスを深めてく必要があります。

「あなたに合ったレッスン」と掲げて集客をしてしまった以上、しっかりと「あなたの需要知る」ための対応をしないと、不本意にがっかりされてしまいます。

しかし、逆を考えると「その人を知ることで今後のレッスンが数段しやすくなる」上に「初めて来た自分にここまで誠実に対応してくれるスクールはありがたい」という印象に繋げることが可能なため、まずは最初の期待を良い方向に裏切ることができるようなレッスンを目標としてみましょう。

コミュニケーションを増やす

人と人との関わりの中で必ず必要になるのが「コミュニケーション」です。

先の話の続きになるのですが、「あなたに合ったレッスン」を知る上で必要なことはコミュニケーション。そう、「コミュニケーション力」です。

若者言葉で「コミュ力」として使われることが多いのですが、あなたのコミュ力はどのくらいですか?会話をする上で「Yes/No」で終わってしまうことはありませんか?

これは「コミュ力がない」状態です。

「今日は晴れていますね」

「そうですね」

ではこの後の会話が続かず、コミュニケーションが取れているとは言えません。

さらに困ってしまうのが、コミュニケーションを取っているようで相手を不快にしてしまう

「今日は晴れていますね」

「でも明日は雨のようです」

という否定の返事です。

基本的に人間は否定をされることが不快に感じてしまうため、なるべく避けたい方法。

しかし、じぶんに取ってそれが不快でない場合もあるので判断が難しいことも事実。

ゴルフスクールでの営業に限らずすべての人にオススメしたいのは【必ず最初に同調する返事をする】です

今日は晴れで明日が雨の場合

「今日は晴れていますね」

「そうですね。でも明日は雨のようです」

これであれば、どうでしょうか?

きっとこの後に相手は「そうなんですか?」もしくは「そのようですね」という返事が返ってきて、自然と会話がつながるでしょう。

ゴルフのレッスンに活かす場合は

「真っ直ぐ打てるようになりました!」

「でもこれだけではコースに出れませんよ!」

と言われたらやる気が削がれてしまいますが

「真っ直ぐ打てるようになりました!」

「本当ですね!やりましたね!でも、これだけではコースに出れませんよ!」

といったん評価してもらえることで、「次の練習方法を教えてください!」と前向きに取り組むことができるようになると思いませんか?

ゴルフスクールでレッスンを教える際に最も重要とされていることのひとつに「コミュニケーション能力」があるとも言われています。

冒頭でもお話ししたように、オンライン化やAI化が進んでいる中で、ゴルフスクールの強みになり得るのは「接客業」として認識することです。

人と人が信頼関係を得るためにはコミュニケーション能力が必要不可欠です。

適切なコミュニケーションをとることで、「思ってたよりも楽しかった」という印象を持ってもらえることができますし、自然と「このゴルフスクールに通うことが楽しい」「インストラクターと会話することが楽しい」と思ってもらうことができるため、入会率や継続率向上に繋げることができます

集客時のハードルを下げる

これは本題と少しずれてしまう上に、なかなかにズルい方法なのですが、最初の集客時の写真やキーワードのレベルを少しだけ下げてしまいましょう。

「自虐ネタ」に近い方法かもしれませんが、無理に自分をよく見せようとしない!というある意味究極の手法です。

人間誰しもが「良く見られたい」と思ってしまうものですが、最初にハードルを下げておくことで「意外と良い」と思っていただくことが容易に可能となります。

もちろん、ハードルを下げすぎてしまうとそもそもの集客に繋がらない場合もありますので程度は重要ですが、それでも無理に「良いでしょ!すごいでしょ!」と言いすぎるよりは効果があるかもしれません。

おすすめの方法は「ネガティブ→ポジティブの説明」です。

ネガティブ→ポジティブ変換(ネガティブな要素をポジティブに言い換える方法)に比べるとそこまで難しくない上に、入会説明でも使える方法のため、ぜひ知っておいてください。

ネガティブ→ポジティブの説明とは、単純に説明する順番のことです。

先にネガティブな情報を伝えてから、次にポジティブな情報を伝えるだけの話です。

人間の脳は、最後に聞いた情報の方が鮮明に記憶に残り、後々思い出しやすいため、ポジティブな情報で説明を締めることで、相手に良い印象をメインに残すことが可能となります。

例えば、最新機器が導入できずに最低限の計測器しかない場合、多くのスクールが「うちは最新の機械とか入れれないから…」とおっしゃいますが、それでも会員さんがそのスクールに通っているのは「そのスクールにお金を払って通いたい魅力があるから」ですよね?

その魅力をしっかりと伝えましょう!

【最新機器はありませんが、既存の計測器を使いこなしたインストラクターが確実な情報でレッスンをしています】

【最新機器はありませんが、その分月会費をお安くしています】

などが多くの理由でしょうか。

インストラクターが少ない状態でなかなか予約が取れないという場合でも

【インストラクターは少ないためレッスン時間に限りがありますが、常に同じインストラクターがレッスンを行うため前回のレッスンの反省面をしっかりとチェック可能です】

【インストラクターが少ないためレッスン時間に限りがありますが、空いている打席はいつでも自由に個人練習が可能です】

というネガティブ→ポジティブの説明をすることができます。

また、この方法で得られるお得要素はしっかりとネガティブな情報を提供することで「嘘をつかずにマイナス要素も話してくれる誠実なスクール」だという印象を持っていただくことです。

聞こえの良いことばかりを説明する企業はどこかしら怪しさがついて回ってしまいますので、包み隠さずありのままを伝えて自社の魅力に変えていきましょう!

まとめ

いかがでしたか?

期待を上回る運営をしようと思うと、どうしても「何か新しいことをしなきゃ」「他よりも良いサービスを用意しなきゃ」と思ってしまいがちですが、実は足元をいったん見直すことだけで期待に応える・期待を上回る施策を用意することが可能になるのです。

特に「人との対応」は時代によって変化して行きます。

昔では当たり前だったコミュニケーション方法が「○○ハラ」と言われてしまうことが増えたため、どのように会員さんとの距離感を詰めていいかわからない…という経営者も多いのですが、そんな時こそ「会員さんの人となりを理解し、適切なコミュニケーションを取って、ありのままのスクールをPR」していきましょう。

無理は禁物です。 期待を上回るスクール運営をするためには、まず今のゴルフスクールが無理ない範囲で「続けていける方法」を見つけることから始まるのです。