体験から入会への素敵な動線

体験から入会への素敵な動線

突然ですがみなさんは少し敷居の高い鰻屋さんに1人で入った場合に、どのようにして注文するメニューを決めますか?

鰻重

並  3,800

上  4,500

特上 5,600

この場合、筆者は【上】をオーダーします。

心理的には

・せっかく良いお店に入ったのだから、それなりのものを食べたい→並より上を頼もう

・一番美味しいものを食べたいけどお財布と相談だな…→特上はちょっとハードルが高い

・上なら5,000円を切っているからこの店のメニューとしては安いかもしれない…

というわけです。

もしかすると【並なのに3,800円もするのだから、並でも十分美味しいものが食べられるだろう】と並を注文する人もいるでしょうし、あるいは【並と上の差は700円なのに、上と特上は1,100円も差があるということはとてつもなく美味しいのかもしれない!】と特上を注文する人もいるでしょう。

これはいくつも存在する「クロージング技術」の中で最もメジャーな技法の一つで「松竹梅の法則」と言われています。

3つのレベルの商品を並べて、真ん中の価格帯の商品を購入してもらう方法です。

人それぞれ価値観が異なるため、必ず真ん中を購入するわけではないのですが、この法則がすごいのは「買うことが前提となり話が進んでいく」ということなのです。

二択の場合は「第三の選択肢:買わない」が自然と出てきてしまうのですが、三択になった場合なぜか買わないことが選択肢と上がらずに「買うとしたら〜」が大前提になってしまうのです。

ゴルフスクールの入会案内

それでは本題のゴルフスクールへの入会案内について、話を繋げてみましょう。

単純に繋げるのであれば、「入会案内をするコースを3つに絞りましょう」ということになります。

しかし、それぞれのスクールではすでに用意されたレッスンコースが存在しており、今から変更するのは難しい場合の方が多いかと思います。

そんな時は「案内するコースを3つにする」ことを試してみてください。

この時に大切なのは

  • 決めがたく「その人にとって」魅力的なコースを3つ用意する
  • コースの差を広げすぎない

ことです。

例えば、週5日8:00〜17:00の定時で会社勤めをしている方に勧めるコースの一つに「平日日中お得コース」を入れてしまうと、必然的に候補から消去されてしまうため「選択肢は2つ」になってしまいますよね。

これでは「入会しない」という新たな選択肢が増えてお客様的な三択が完成してしまいます。

あくまでも用意する選択肢は「その人に合っているコースを3つ用意すること」が重要なのです。

また、どうしても決めかねている場合は、第四の選択肢「入会しない(持ち帰って検討する)」を出される前に「スポット利用をする」という極端に異なる選択肢を出してあげましょう。

月額制やチケット制でコースを用意しているスクールさんにはぜひ試していただきたい手法です。

しかし、この手法をみなさまはすでに実施されている常套手段。

入会案内の動線

それでも入会率が伸びないから困っているんだ…という場合は、入会案内をするタイミング・動線を変えてみても良いかもしれません。

多くのスクールでは「体験レッスンの後に入会案内」をすることが多いかと思います。

しかし「先に入会案内をしてから体験レッスンを受けてもらう」という流れに変えただけで、入会率が一気に上がったというスクールがあります。

なぜ入会に繋がりやすくなったのか?

その理由は「体験レッスン受講者の目的」にあります。

体験レッスンを受講する人の「目的」は、何と言っても「体験レッスンを受けること」です。

しかし、スクール側は「入会をしてもらうことの手段」を目的に設定して体験レッスンを用意していることがほとんどです。

受講者は「体験レッスン自体が目的」スクールは「入会してもらうことが目的」であるため、【目的の設定】が合致していませんよね。

これでは、双方の歩み寄りが難しく目的達成が難しいのは容易に想像ができます。

そのために、まずは「目的」を一致させる必要があります。

これが「先に入会案内をすること」に充たります。

最初は「体験レッスンを受けよう」と思って来店した人でも、最初に

「当スクールのプランはこのようになっています。今日受けていただくのは、このプランと同じ内容となっています。体験が終わりましたらこの金額に相応しいレッスンだったか?を考えていただき、内容に納得していただけたら入会をご検討くださいね」

という説明をしてあげて「体験レッスンは入会を目的とした手段であること」「入会するための内容確認であること」を理解していただくのです。

このステップを踏まずに体験レッスンからスタートしてしまうと、体験レッスンが終了したと同時に「受講者的には目的が達成」されてしまうので、その後の入会案内についてしっかり聞いてくれない・検討してもらえないことが多く発生してしまいます。

最初に説明することで「早くレッスンを始めてくれよ」と思われてしまうのでは…?と不安に思う場合は、体験レッスンの受講日前日などで「体験レッスンのタイムスケジュール」を説明してあげましょう。

来店前に「体験レッスンを受ける前に、入会の案内があるんだな」と理解していただくことが大事です。

当日、入会についても説明する側も気負うことなく、館内の案内や使う機材の説明と同じように「当スクールの仕組み」のひとつとして紹介をするイメージでOK。

あまりギラギラして入会案内をしてしまうと、受講者もその後のレッスンに集中できなくなってしまう可能性がありますので、どうぞほどほどに。

お客様情報の聞き出し

入会案内時に、可能な限りお客様の情報も聞いておきましょう。

どんなことに悩んでいるのか?

直近でラウンドに行く予定はあるのか?

クラブやグローブ、シューズやボールなどお気に入りのアイテムは持っているのか?

体験レッスンとはいえ、体験者が満足する内容を提供しなければ入会には繋がりません。

その人が今必要なレッスンを体験レッスンで実施することができたら、上達への道筋を理解・実感していただくことができるため、入会へまた一歩繋がりやすくなるでしょう。

更に余裕があるようでしたら、悩みなどを聞きながらおすすめのプランを提案してあげても良いかもしれません。

先にお話しした「3つのプラン」を提示しても良いし、「今お聞きした内容であれば、このプランが一番満足していただけるかな?という印象でしたので、体験レッスンを受けながら考えてみてくださいね」と一つに絞って説明しても良いでしょう。

お客様自身が自分に合うプランを見つける

基準となるプランが決まれば、あとはお客様自身が「この体験レッスンの内容で、自分に合うプラン」を勝手にイメージしてくれるので、過不足がないか?そもそもこのプランが合っているのか?の答えを待つだけの状態に持っていくことが可能です。

どのような商品でも「販売する」場合はお客様主導でなければ「押し付けて買わされた」という印象につながりかねません。

特にSNSが発達した現代では、少しでも不快な気持ちにさせてしまった場合、誇張したイメージダウンのクチコミが投稿されてしまうおそれがあります。

そのためにお客様に媚びたり極端に機嫌を取る必要はありませんが、気落ちよく買い物をしていただきたいですし、ゴルフスクールともなれば少なくても週に1回は顔を合わせる相手となりますので、しっかり理解と納得をしていただいた上で入会に繋げていきましょう。

入会案内後の検討

最後に、「やっぱりいったん家で考えます」というお答えをいただいた場合の対応です。

正直なところ、体験レッスンからの当日入会率は60〜70%程度と考えておいた方が良いかもしれません。

もちろん、条件(競合店舗の存在やターゲット層、料金設定など)によっては異なりますが、一般平均としては半分超える程度と考えていただいて問題ありません。

そのため、当日入会しなかった場合の対処も用意しておきましょう!

…と言いたいこところですが、当日入会しなかった人が後日入会する確率はほとんどないと思っておいた方が良いのです。

「後日入会します」といった理由にもよりますが、「考えます」というのは「お断りします」の言い換えである場合が多いため、あまり押し付けがましくない方法でアクションを取るようにしましょう。

まず、使うツールは「メール」「LINE」のどちらか。

電話では圧が強く感じることが多いためおすすめしていません。

「メール」「LINE」で送る内容は

  • 体験レッスン受講のお礼
  • 体験レッスン時の振り返り(提供が可能であれば、体験レッスン時のスイングデータ等)
  • すでにご案内済みの入会案内
  • 新しく対応可能なキャンペーン内容(用意がある場合のみ)

以上です。

体験レッスンの温度感が高いのはその日のうちだけで、一晩経ってしまうとどんどん熱は下がってしまいます。

その減少を少しでも食い止めるために「体験レッスン時の情報を視覚的に残してあげる」ことで、そういえば楽しかったな…これで上達しそうだったな…と思い出していただくきっかけになりますので、念のための対策はしておきましょう。

それでも入会に繋がらなければ、その後の入会案内は控えます。

あまりしつこくするとブロックされてしまう可能性が高まってしまうので、誰も気持ちが良くないまま関係が終了してしまいます。

しかし、入会しなかったからそれで終わり…というのはあまりにもビジネス的すぎるため、お客様からのNGが出ていなければ、DMを適宜送るようにしましょう。

本当に嫌になればいつかブロックをしてくれるでしょうし、そうでなければ「読み物」として楽しんでいただきながら、機会が来たらまたスクールに興味を持ってくれるかもしれません。

一度は繋がったご縁であることは間違いないため、付かず離れず…蔑ろにせずにしつこくもせず…適切な距離を保てるようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?

体験レッスンを受講される方は、本当であれば入会への温度がとても高いのが基本です。

娯楽が周りに溢れた現代で、仕事や家庭に忙しい毎日の中わざわざゴルフスクールを調べて申し込みをして、初めてのお店に来店する…というのは順序立てて考えると、とても手間がかかっているのです。

それをわざわざこなして体験レッスンを受講してくれた方が入会するか否か?は、スクールの魅力の伝え方次第。

全員に100%響く言い回しやプランは存在しませんが、その人に合った話し方・言い回し・プランの提案さえ出来れば入会していただけるのです。

【入会していただく=魅力を理解していただく・価値を理解していただく】ことを念頭に起きつつ、自社で可能な手法を見つけ出してください。

必要なのは

  • その人に合ったプラン提案(出来れば「松竹梅の法則」に則った3つのプラン+スポット利用)
  • 入会案内のベストタイミング
  • 適当なアフターフォロー

だけです。

いずれも新しくシステムを導入したり、無理にオペレーションを変える必要はありません。 スクール運営の中で、少しだけ変えられるところをプラスに変えて、楽な会員獲得に努めましょう。